ギルダンの徒然日記+

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『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』レビュー+感想

何故俺は晩購入後気づけばクリアするまでプレイしていたのだ…。

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というわけで『River City Girls』(公式URL:https://www.kuniokun.jp/rcg/)ノーマルクリアしてました。

ツイッターに感想を書こうと思ったのですが長くなりそうなので基本的部分から書き直しをしていこうな次第。最近別の書き物で疲れていたので気晴らしともいう。

(11時28分追記)指摘を受けてタイトルを修正。基本的にレビュー記事ってそもそもネタバレになるよな…と思いネタバレ注意と書きましたがむしろ不安を煽ったみたいで。申し訳なし…。基本的に公式サイトの情報や序盤以上のバレはあまりないようには作ってはいますが、実際これでネタバレになるのかとかも含め教えてもらえると幸い。

(2019/09/17修正)ハードもクリアしましたが基本的には同じ評価かなとは思います。ネタバレしない限りで追記してます。

 

 

1.はじめに~本作と『くにおくん』との関係について~

 このゲームは、1986年にアーケードで稼働した『熱血硬派くにおくん』(テクノスジャパン,AC,1986)のスピンオフ作品であります。

 そもそも『熱血硬派くにおくん』は不良である「くにお」を主役とし、大体ボコられたり銃で撃たれて重症を負う「ひろし」を背に、彼を襲った不良やヤクザを叩きのめす、というストーリーのアクションゲームです。

 

熱血硬派くにおくん』参考動画(ニコニコ動画より引用)

 

 

 1986年当時は多数アクションゲームが出ており、『くにおくん』と近いクォータービュー(斜めからの視点)視点の作品や、格闘技アクションの作品も多数存在していたのですが、『くにおくん』は1vs多人数で、かつボタンの組み合わせで一連のコンビネーションや様々特殊な技が出る格闘技で戦うという新機軸を打ち立て、ヒットしました。

 更に、この『熱血硬派くにおくん』はいわゆる「ベルトスクロールアクションゲーム」と呼ばれる、クォータービュー画面で1vs多人数の格闘アクションを楽しむゲームジャンルの先駆けとなり、のちのテクノスジャパン作品の『ダブルドラゴン』(AC,1987)や、更にカプコンの『ファイナルファイト』(1989)などへと繋がっていきました。当時の売上も、純粋に他作品と比較して、所謂普通のビデオゲーム筐体である汎用型ビデオゲーム筐体で遊べるビデオゲームの中ではかなり高いものだったみたいです(『月刊アミューズメント産業』(アミューズメント産業出版,1977~)など業界雑誌のランキング記事参照)。

  さて、その『くにおくん』の続編以降の作品ですが、「熱血硬派」シリーズと、「ダウンタウン」シリーズという二つの流れから構成されており、一部作品を除き家庭用を中心に展開しておりました。その中に『新・熱血硬派くにおたちの挽歌』(1994,SFC)という作品があり、『River City Girls』はこの作品で使用可能である二人の女性を主役とした作品になります。ちなみに『くにおたちの挽歌』は実は外注作品だったのですが、『River City Girls』もまた、現在の権利所持者のアークシステムワークスではなく、あの『シャンティ』シリーズを開発しているWayForward Technologies Inc.の開発です。そのため見た目やドットについてもかなり開発会社の印象が強くなっています。

 …前提部分で話が長くなりました。本編紹介に移りまする。

 

 

2.熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』とは

 以下『RCG』と略しますが、『RCG』はくにおくんシリーズの流れを組むベルトスクロールアクションゲームとなります。主人公はくにおの彼女の「みさこ」か、りきの彼女の「きょうこ」を操り、くにおとりきをさらった犯人を探し出す、というストーリーです(公式サイト参照。あくまで)。

 

3.『RCG』の基本部分の紹介

3-1.基本操作ーアンロック式ベルトスクロールアクション

 『RCG』で普段使うボタンは4ボタンです。発生が早くボタン連打で固定のコンビネーションが放たれる「クイックアタック」、発生が遅い代わりに相手をふっとばす「ヘビーアタック」、最初は使えないですが途中でアンロックすることが可能な「特殊技」、あとジャンプを駆使します。後は十字キーボタン2回で、前と後ろにはダッシュしたりなどがあります。いつものくにおくんだとパンチとキックボタンがあったりするので、どちらかというとそれよりは『ファイナルファイト』などのベルトスクロールアクション全般の基本設計みたいな感じです。

 その他ガードボタンや、雑魚敵を恫喝して仲間にし、呼び出す「リクルートボタン」などもあります。ただこの辺は本編だと使いづらい印象はありました。特にリクルートボタンは呼び出す雑魚敵がそこまで強くないため、利用する場面があまりなかったです。ガードボタン共々現状ノーマルをクリアした段階ではあまり使いませんでしたが、高難易度だと使う機会が増えるかもしれません。

 話を戻しますと、本ゲームは経験値制やゲーム内硬貨を導入しており、最初の頃は技を何も持っておらず、コンビネーションも貧弱ですが、レベルアップや、ゲーム内に存在する道場で技を購入することで新たに技を習得できます。そのため序盤は結構物足りない、かつ敵が最初からちゃんと動いて攻撃してくるので難しいのですが、技が増えてくる中盤~後半はサクサク進めるタイプです。同じジャンルで近い作品だと『SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD: THE GAME』(UBIソフト,Xbox360orPS3,2010、現在配信終了)や『バトルサーキット』(カプコン,AC,1998)が近い…気はします。

 自分はきょうこでまずはクリアしたのですが、きょうこだと特にコンビネーション全般と「バレーボールトス」(下+ヘビーアタック)、「バレースパイク」(空中でヘビー+特殊)を覚えた辺りで世界が変わりました。コンビネーションからヘビーアタックにつなげることが可能なので、トスで浮かせて空中ヘビーからバレースパイク、という一連の連続技で相手を倒す爽快感という感じです。

 

色々とコンボ出来る状態を動画にするとこんな感じです。

 

 

 上記のように、元からキャラクターの動かしやすさは良好で、更につなぎの部分についても直感で理解しやすい仕様となっていることや、操作性自体の高さなどを含め、アクションゲームとしては基本的に出来が良いです。この辺は『シャンティ』を開発したWayForward Technologies Inc.の開発力と、そもそもの「くにおくん」シリーズのわかりやすさがかなり影響を与えていると思います。アーケードゲーム発祥のジャンルなだけに、デモや説明を見てすぐに分かるように出来ているのは流石と言って良いでしょう。ゲーム内のチュートリアルも丁寧に作られているので、何をすればいいかわからない、という状態にはあまりなりづらく、アクションに集中出来るのも利点です。

 ただし、特定の技を覚えると技のコマンド被りの都合不便になったりするので、RTAみたいに急ぐ場合は封印技も出てくるかもしれません。特に倒れた相手を持ち上げて武器に出来る「人間ウエポン」(倒れた相手の真下でクイックアタック)は、他のザコに対応しようとするとそっちが発動して殴られる、ということが結構あったので困りものでした。この技を利用する実績があるので最初はとってもいいですが、別のキャラだと忘れてよいと思います。クリアしても技を忘れる事は出来ないため、技を忘れるためには一からやり直し…というのは少し欠点といえるでしょう。あとはエリア移動ボタンとクイックアタックが同じボタンなので攻撃しようとすると移動してしまうという、UI上の問題点も難点といえます。

(2019/09/08修正)「人間ウェポン」はレベルアップで覚えちゃう系の技でしたね…。覚えちゃうと不便なので昔のダウンタウンシリーズみたいに技のオンオフ機能がほしいところです。

 また、アクションゲームとしては面白い作品ではあるのですが、なにか新しいことをやっている、ということは基本的にはないです。あくまで連続技をどんどん入れる系寄りのベルトスクロールアクションゲームの基本に忠実に、堅実な作品として仕上がっています。そのためゲーム自体は面白いですが、新たな知見を得ることはちょっと難しいかと。ただし、現在の『くにおくん』シリーズは実際のところそんなに新しいことを求められていないので、ゲームとしてはしっかり完成させている『RCG』は「くにおくん」シリーズの正解の一つとも言えるでしょう。

(2019/09/17修正)ハードをクリアした限りでも同じ感想かとは感じました。あくまでベルトスクロールアクションゲームの基本である、敵をまとめるように攻撃を避けて動きつつ、まとまった上で相手の攻撃の隙が出来れば殴り倒す、という部分に忠実な作りかとは。それもあってハードでもガードやリクルートボタンはあまり使わなかったです。この辺はベルスク系ゲームを調整する際全般に起きると思われる難しいところですね…。

 

 

3-2.キャラクターについて

 別のキャラ、と書きましたがキャラクターは「きょうこ」、「みさこ」の両方とも技モーションが全く異なっており、恐らく特殊技なども性能が違うと思われます。いわゆるベルトスクロールアクションあるあるのキャラ別に遊ぼう、みたいな感じです。とりあえずきょうこでクリアしましたがかなり使いやすかった印象でした。その後クリアした後に別のキャラを使ってみたもののヘビーがだいぶ使いづらそうに見えたりなど、色々と差異があるようなので楽しみです。今後使い終わったら追記…したいかもです。

(2019/09/17追記)他のキャラクターも使ってみました。「みさこ」はきょうこと比べると空中コンボでの拾いが多い代わりに移動攻撃があまりない、という感じで差別化が図られていたかなとは。ただ、最終的にやることが似通ってくるのは『D&DSOM』(カプコン,1996)や『エイリアンVSプレデター』(カプコン,1994)など並には差別化できていないかな…と思いつつ、それでも遊びたくなるのはキャラクターのデザインや見た目に明確な強さがあると思います(後述)。

 

 

3-3.ストーリー

 ストーリーは先述の通り攫われたくにおとりきを助けるためにみさこときょうこがまちなかを探し回り、その中で敵やボスを見境なく殴り倒していく、というある種『竜虎の拳』(SNK,AC,1993)チックなストーリーです。かのリョウ・サカザキの「こうなったら街中の奴らをぶっ飛ばしてでも捜し出してやる」を地でするのと、「みさこ」も「きょうこ」も性格が強いため、割と全体的に理不尽なつっかかりもしていきますがまぁ不良だから多少はね…?

  暗躍する冷峰学園の「はせべ」や「まみ」、立ちふさがるボスは「みすず」や「やまだ」などの過去にくにおたちと張り合った強敵たち。果たしてくにおとりき、そしてみさこときょうこの運命は…。(ネタバレをなるだけ防ぐ並の紹介)

 

 

3-4.キャラクター造形や設定について

 さて、先述のようなストーリーの『RCG』、キャラクター造形や設定がこれまでのシリーズと大幅に異なっているのも重要な特徴です。例えば動画で比較するとこんな感じになります。

こちらが『挽歌』(ニコニコ動画より引用)

こちらが『RCG』(ニコニコ動画より引用)

 

全体的にかなりポップな形にデザインされており、特にシリーズを代表して男性CVであったみすずさんはちゃんと女性CVでかつちゃんと女性に見える見た目という、凄まじく可愛い仕上がりになっています(当社比)。

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図1・熱血硬派時代(熱血硬派くにおくんスペシャル公式サイトから引用:https://www.kuniokun.jp/special/summary/index.html

図2・RCGのみすず(公式サイトより引用:https://www.kuniokun.jp/rcg/

 

 キャラ造形に合わせて背景設定もかなり変化しているのか、基本的にはストーリーが「ダウンタウンシリーズ」や「熱血硬派」シリーズとも繋がらないように見受けられます。恐らく初代の『くにおくん』の基本設定しかないのかもしれません。

 そのため、「ダウンタウンシリーズ」に出ていたキャラクターは能力…いやそれも含めてほぼ別物になっているキャラがちらほらいます。やまだはあんまり変わってないですが、ごだいとか最早お前は何故情報屋なのだ…木刀はどうした…?ということも。

 特に変化しているのは「はせべ」かもしれません。彼女は「ダウンタウン」シリーズにおいて「くにお」や「やまだ」と確執があった上でくにおのガールフレンドだったのですが、『挽歌』等「熱血硬派」シリーズでは「みさこ」が彼女扱いのため、色々と設定や性格がかなーり変わっています。「ダウンタウン」の「はせべ」が好きな人にはちょっとショックかもしれません。

(2020/12/31追記:この辺やり直して気づいたのですが、実際のところはむしろ「みさこ」と「きょうこ」が可哀相かもしれないですね…。この辺はストーリーを見ればわかると思います。)

 また、街の名前もリバーシティなので、地味に場所の設定もちょいちょい変わっているかもしれないです。でも冷峰学園はある不思議。この辺はどういう設定なのかちょっと気になるところ…。

 以上のように「ダウンタウン」シリーズファンはだいぶ面食らうと思うので、その辺はあくまで「熱血硬派」シリーズのスピンオフ、として考えていくと切り替えがしやすくて良いかもしれません。私個人はこの「はせべ」と「まみ」もありっちゃありやな…とはなりました。

 あと、少し別の話ですが『ダブルドラゴン』シリーズのキャラがゲストとして出ます。ボスでアブボが出ていたり、道場主が主役たち(ビリーとジミー)だったり?など。浜辺の飲食店の怖いおばさんは何者なのだろう…とちょっと悶々する日々が続いています。

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多分ペンネ?さん。一体何者なのだ…。あ、因みにお金は結構簡単に溜まります。ボスを倒す以外にもごだいの提示するクエストクリアなどで結構大金がもらえるので。ごだい…この世界では一体何者なのだ…。

 

 

4.総括

 以上、『RCG』を紹介していきました。簡潔にまとめると「ベルトスクロールアクションゲームとしては良作」、「ただしあくまでその枠は超えていない(超える必要があるか、と言われると難しい所ですが)」、「くにおくんシリーズファン、特に「ダウンタウン」シリーズファンは設定変更周りや造形をどう見るかで判断」、「開発元的にシャンティファンには素直におすすめ」、「『くにおたちの挽歌』ファンは買おう」って感じです。点数としては3000円で今後も楽しめそうなこと、ただし少し問題点もあることを考えると80点程度はあるかなとは思います。今後この新しいタイプの「くにおくん」シリーズが続いていけば新たな展開も期待出来ると思いますし、個人的には注視したいシリーズになりました。

 

(2019/09/17修正)ふぉる絵さんのレビュー(https://jp.ign.com/river-city-girls/38406/review/river-city-girls)でも書かれていましたが、ビジュアルの可愛さは明確にこのゲームの強みになっていると改めて感じました。最終的に飽きが入ってしまうこの手のジャンルのゲームのあり方をうまく(いい意味で)ごまかしています。

 だからこそ、個人的にはもうちょっとキャラの差異の薄さとか2周目以降のちょっとした物足りなさ、シナリオにおける雑な部分などの細かい部分が気になるかな…という評価に。次回作ではこの点を色々と改善していってほしいところですね。最終評価としては「ベルトスクロールアクションとしては初心者~中級者向けの良作」、「ただしシナリオ面は評価が悩ましいのでモチベは可愛さ重点」も追加という感じでしょうか。

 

 

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個人的に一番謎な連中。ゾンビが普通にいる世界…?いやダブドラ世界ならありうるのか…?