FGO：アガルタの女感想
今回も色々箇条書きしていこうなスタイル。
超ネタバレ注意です。ご注意。
◯全体
・流れ自体は分かりやすい。
…全体を把握するキャスターが自らの宝具と魔神柱のちからを持って、ラストまでの物語を作る。
…その中で欲望を吐き出す人々が各々カルデアの面々が現れたことにより色々と変化していく。
…その変化する状況、その国々を見ていくなかで、フェルグスリリィが成長（文字通り？）し、キャスターを色々な意味で倒す物語。
・ただちょっと色々と唐突な書き方が多い
…シナリオ最後の理由説明がちょっと多すぎた感じ。
…「誤認」「歪さ」がシナリオ全体の特徴で、それは最後まで見ればわかるんだけどもちょっと伏線が欲しかったなって感じ。マシュの説明とかでね。（つかマシュとデオンぐらいしか説明担当がいないのが問題か）
…書き方がミステリの種明かし系といえば分かりやすいのかなぁ。ホームズが出た時点でわかるけど。
…あとラストのキャラクターの出方がなんぼなんでも唐突。この辺はもちょい何とか…。説明されてる分余計にもちょっとそれまでで描写してほしかったんじゃよナ感じ。後述します。
・得点つけるなら全体70点、それぞれの国のシナリオ、キャラクター面の描写は85点位な感じ
…キャラクターの活かし方は十二分なのでその活かすための状況を作るとこがちょっと勿体無いって感じ。
…他のゲームのシナリオで言えばちょっと悪い意味でのスパロボ、ライダー映画っぽい。
…新宿は全部80〜85点ベースだったのでやっぱちょっと落ちるかな。それぞれが独立した話ならまだ良かったけど連続してるからねぇ。
…4章みたいに記憶から微妙に忘れかける（キャラも魅力あんま出せなかった系）よりは良かったけどうーんという。
・キャラクターの描写に関してはかなりよく出来ていたと思う
…フェルグスがやはり大人時代から比較されつつも、「王」とは、「国」とは何か、「人の生き方」とは何か、「男」と「女」とは、ってのを考えていくのは良かった。（何故リリィが実装されないのだ…）
…正直な話細かい部分のツッコミどころはあるにゃーあるけどその辺気にならないぐらいだったかなぁとは思う。
…レジスタンスのライダーが最初から綺麗に見えて危なそうな片鱗を出してて実際真名出た時点で「あ、こいつこんな綺麗なの逆におかしい」ってなって「やっぱりな」ってなるとこほんとすこ。
…アサシン、バーサーカー、ダユー（ドレイクオルタ）はしっかり描写出来てたと思う。ドレイクオルタは別な形で欲しいかのう。
…不夜城のアサシン、エルドラドのバーサーカーは共に王としての矜持を持ちながら、それを通し続けて死んでいく、という非常に分かりやすい良さがあった。史実見ても大体納得行く感じ。
…ヘラクレスは完全な舞台装置として生きてたけどそれはある種「物語の歪み」の説明を分かりやすく見せるところだからしゃあないかなとは。巨大英雄かっこよかったしね。
…味方側も概ね違和感なし。てかキャラクターの個性に広がりが生まれてよかった。特にデオン、彼はアストルフォに憧れ持っていてもおかしくないのだ。幼年期のヒーローの目の前で自分も騎士として闘えることに憧れを持つようなそれ。仮面ライダーの前で闘う少年ライダー隊みたいなもの。それに今回気づけたのは良かったマン。
◯何がシナリオに欲しかったか
・伏線
…これがあんま見られないので唐突に現れたり生き残ったりしてるように見えるのがのーって感じで。
…トランスフォーマー、キン肉マンばりのいきなり現れました感つよい。全体的にテキスト量足りてない感じあるかなぁ。
…あのへんは勢いでごまかせてるんだけど、テキストベースでそれをやるにはちょっと無茶がある。
…多分ここさえ何とかしていれば細かい所はほぼ気にならなかったんちゃうかなとは。
…最後に説明するんじゃなくて、少しづつ小出しにすればええだけの話ではある。CCCイベ、7章の黒化義経みたいな散りばめ方が欲しかったかな。
…野営中に「歪さ」に気づく、とかね。最後の心情説明はキャスターのところだけでいいし。
◯例えばこんな伏線欲しかったなってやつ
・エレナさん関連
…もうちょっと前に例えば黒いシルエットなりで死んだり実は生きてる描写が欲しかったなー。居ないけど実は…って紹介はちょっとうん。あのライダーならやりかねんからもっと早めに描写が欲しい。
…たとえばシナリオ開始前に先述の描写をやって、誰かが拾ってる（生き残った不夜城のアサシンとかがかな）描写があって一緒に駆けつけたら良かったのかも。
・不夜城アサシン、ダユー関連
…これもエレナさんと一緒だけど、実は生きてましたってとこを使いすぎちゃうかなーって感じ。ダユーは正直そのまま死んでても良かったかも。アサシンも何とかシルエットで生きてる描写が欲しかった。
…例えばCCCイベでエミヤオルタの腕がピクってなるとこみたいな感じでね。
…ここ最近「シナリオ詰め込みすぎてて入りきってない」みたいな状況が多いのでもちょっとコンパクトでええんやで、て部分はあるかもしれん。新撰組ぐらいの規模で同じ文章量ならこの辺もカバー出来たんちゃうかなとは。
・エルドラドのバーサーカー関連
…ミスリードを狙うにしても、という点はちょっと感じた。
…ただまぁその辺に関しては今後別な形で描写入りそう。アキレウス憎しならアポイベで出てくるだろうし。
…元からヘラクレスも嫌いだからそのまま描写しても良かったんちゃう？とはちょっと思ったり。
…ヒュッポリテとの比較は欲しかったなーって考えて思うのはやっぱ今回全体的に詰め込めすぎてる感。
◯良かった点
・コロンブス（もう言っちゃおう）関連
…非常に良かった。実際彼は味方からすれば非常に良いやつに最初の頃は見えるが、実のところ悪辣、ゲス、征服者であり、豹変する部分や小物っぽく見えるとこも含めて凄く彼の魅力を伝えていた。
…死ぬまで諦めない、死んでも諦めない、ただひたすら前に進む様は間違いなく英雄だが、その内容は血にまみれている。実にコロンブス（ヒデェ）
…彼がやりそうな事は大体やってるのでエレナ嬢に対する仕打ちもせやな感ある。或いはこの辺に関しては「彼女をだまくらかして副官にして、焼き討ちのとこで殺す（けど実は生きてる）」って言う方向でも良かったかもだけどね。彼女を伏線にするなら。
・真っ当なドレイクvsコロンブスは普通にありえる…というかドレイクから見ればコロンブスは船員すら顧みないド畜生なんで黒髭よりもアカンやつと思ってそう。海賊メイン話来ないかな〜とは思う。夏イベに期待。
・アガルタという世界観とキャスターとフェニクス
…ただ「死にたくない」という価値観で、かつ「自分（女性）が死ににくい世界」、というキャスターの心情を込めた世界はかなり分かりやすい。
…また「殖え方」も歪なところもキャスターの死生観が現れてるんやろうなぁとは。
…それに乗っかる歪んだ「王」、「英雄」。死にたくない＝見苦しさに繋がるラスト。
…全体的にはこの辺は非常に好み。
・不夜城とアサシン
…大体史実をちょっと広げた感じなのでほぼ納得。何故子供の姿なのか、という部分も良し。
…実際「武則天が這い上がるためにはこうせざるを得なかった」という部分は絶対に引かずに、ラストまでやりきったのはかなり好みでした。欲しいなぁ。
…時代の「歪さ」関連はもうちょっと前で説明してほしかったけどその辺はさっきも書いたが伏線のとこやね。
・エルドラドとバーサーカー二人
…こちらも「ギリシャの英雄憎し」という非常に分かりやすい部分。
…アマゾネスという生き方を極端に煮詰めたその姿は実に物語に出てくる女尊部族感ある。多分この辺もキャスターの影響なんだろうなぁとは。
…ヘラクレスはまず「物語の怪物」という形に変異する事自体が歪で、かつ面白いところ。
…この辺含めて、「最初から歪ませてる」から説明させようがない、という部分もキャスターの宝具と魔神柱の効果として恐ろしいとこよなぁ。違和感が正解という。
・旧キャラ関連
…特にフェルグスとデオンかな。アストルフォはいつもと変わらんのが良さ。
…フェルグスも最初から「若ければより欲が強いだろう」という「キャスターの勘違い」から生まれた存在。
…だが、それ故にフェルグスリリィには新たに成長する余地が生まれ、結果的にそれがキャスターを倒すきっかけとなる。王になれなかった戦士の物語。
…下ネタ関連はまぁいつも言ってるからしょうがない感。そもそも普段から性豪であった彼がそうでない、という歪さもまた面白い。
…ただ選択肢関連はちょっとギャグにしても選びたくないかなぁってものが多かったかも。てかシリアスシーンにギャグはさみすぎやね。そこは難点。
…デオンはアストルフォという「騎士として尊敬したい姿」がいるからより奮闘するという分かりやすい図。例えば坂田金時に対する風魔小太郎のような。その辺あって当然のことに気づけたというかその話を持ってきてくれたのが良かった。
◯まとめ
・多分5章ぐらいの文章量もらえてたら十全に伏線散りばめられてたと思うし唐突に登場する人たちもちゃんと登場させられてたと思うと勿体無い
・キャラクターの描写はいつも通り良かったです。この辺は流石というかなんというか。
・欲しさで言えばコロンブス＞ペンテシレイア（手に入れた）＝武則天≧フェルグスリリィ（なんでいないの…）＞ダユー（まぁドレイクオルタは別の形でまた来て欲しい）＞＞＞キャスター
・総評するとさっきも書いたが全体で70点ぐらい、キャラの描写は85点ぐらい。
・全体から見ると4章よりは上、5章以降の中では下になっちゃうかなって感じ。また読み物としてあたりでリメイクされて欲しいのう。
knkg。
